プラスチック・ラブ
 ――2――






                                     by kei
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 ああ、もう、嘘でしょう?

 だって、なんだかんだ言ったって、この人アイドルだよ?超売れっ子のタレントだよ?あのギャラクシーのメンバーなんだよ?TVでずっと見てた…。
 嫌いなんかじゃなかった。
 大好きなグループだった。緋川さんが一番好きだったけど、その次は…。
 でもダメだよ。
「観念して言うこと聞けば?サト…まさか初めてじゃないだろ?」
 初めてじゃないけど…でも経験豊富ってほどでもないわよっ!仕事始めてから時間帯が不規則でなかなか男が出来ないんだから…専門学校時代以来だから、2年はしてない。もう蜘蛛の巣張りまくりだわよっきっと!!
「やっ、離してってばっ!」
「なんか可愛い反応してくれそうだな?俺あんま優しくないから、って先に言っとくな。」
「ちょ、ちょっとっ!!や…んんっ!!」
 塞がれた…唇を思いっきり、それもいきなり深いのっ…
「ん、んっ!!」
 もがくけど、やっぱり男相手に無駄な抵抗。おまけに絡めてきた舌先と、流し込まれる唾液にしっかりとお酒の匂いが移っていて、くらくらしてしまう。

 だめ…力抜けちゃう。

 天野さんなんて、ホントに自分勝手で、仕事じゃなかったら付き合わないタイプで、絶対絶対、好きにならないと思ってた…
 なのにこんなことされても、嫌じゃない自分が居るの?
 襲われてるのに…このままじゃヤラレちゃうかもしれないのに?

 なんで、大声出さないんだろう…
 だめだよね、人が来たらマズイ、一応相手は芸能人。
 それに、天野さんは危険だよ。遊ばれるに決まってる。
 あたし、遊びで恋なんて出来ない。いくら芸能人相手でも、ひとときの夢で終わらせられないよ…
 きっと、ずっと、尾をひいちゃうんだ。だから、だめ!

 なのに、なんで身体が応えちゃうの?
 うまいのかな?優しくないって言ってるけど、結構キスもしつこくって、手がぁああ!耳の後ろ、首とか触らないでっ!ダメなの、そのラインは…

「はあん…」
「フン、結構可愛い顔するんじゃん?」
 目の前で凄く優しい顔で笑ったあと、そのまま唇が下がっていく。
「やっ…ん!」
「声も可愛いじゃん、普段の憎まれ口利いてる時と全然違うしよぉ…そんな声今まで他のやつに聞かせてたのかって思ったら腹が立つな…」
 キスが降りていく。
 たくし上げられたカットソー、ブラのラインにキスされて、その後いきなりそれも上にずらされる。
「やあぁっ!」
 それと同時に胸を揉みしだかれ、張りつめた胸の先を舐められ、口に含まれて吸い立てられた。
「んんっ!!!」
 びくって腰が浮く…反対の先は強く摘まれて、下半身に熱と意識が集まっていく。
「悪いな、オレほんと優しくないから…」
 与えられるのは痛いほどの快感。天野さんの手が性急にあたしのジーンズのベルトを外す。
「だ、だめっ!!」
 その手を退けようとするあたしの手を頭の上で一つにして取り押さえられてしまう。暴れるあたしに脱がすことを諦めたもう一歩の手が、ファスナーの合間から下着の中に滑り込んできた。
「ひっ!」
「何がダメだよ、しっかり濡れてるじゃん?」
 スリットに添って天野さんの指がいつの間にか濡れてしまったあたしの秘所を滑っていく。
「やぁ…っ、うぐっ…」
 涙声になっても、その指は止まらない。ぴちゃぴちゃと水音を響かせて、あたしの中に入り込んでくる。
「あぁああ…んっ」
「サト、涙流すほどイイんだ?じゃあ、これでどうだ?」
「ひゃぁっ!!!」
 いきなりその上の剥き出しになった快感の蕾を擦られて、あたしはあられもない声を上げてしまう。その後指を増やされ、バラバラに動くそれは、微妙にあたしのいいところを探し出すと執拗に攻めはじめた。
「うわぁ、サト、気持ち良さそうな顔…ここもすんげえ締め付けてくるし?これで嫌だとか、無理矢理とか言ったら嘘だべ?」
 ニヤニヤ笑いは収まっていないけど、目元はドラマモードのままだった。
 この人は、こんな顔して女を抱くんだ…
 そう思うと、今度は苦しくなってきた。
 きっと今夜のことは遊びで、明日になったら、本気にするなよって言われそう。
 それに、まだ一言も聞いてないもんね。好きとか、そう言ったたぐいの言葉は。
 だから、あたしみたいにどこにも特別のない女なんか、きっとすぐに飽きられるに決まってる。
 あ、あった、取り柄は料理?それも田舎の節約料理だけど…だったら、飯炊き女決定?
 あたしって…

「もう、暴れるなよ?」
 あたしの手を解放した彼は、さっさとあたしのジーンズを下着ごと引き抜いていく。心は悲鳴を上げていても、身体は既に逆らえなくなってきてるみたい。
「いい眺め〜悪いな、オレもここんとこ忙しくって、久々なんだ。ちょっと、味見…」
 いつの間にか上半身裸で、トランクス一枚の天野さんが嬉しそうにあたしの膝を掴む。
「やっ、なに??」
「なにって、味見って言っただろ?」
「だから、なにすんのよっ?」
「なになに?おめえ。ここ舐められたことねえの?」
 な、なんでそんなとこ舐められなきゃイケナイの??ぐって強く開かれてしまう…
「ほんっと、経験少ねえのな、じゃあイタダキます。」
「やぁあ!あっ、あっ、あんっ、や、はぁ…んっ」
 い、いきなり犬みたいにあたしの、あ、あそこ舐められてしまいました…なま暖かくって、ざらっとした舌が敏感な部分に触れるたび、あたしはおかしな声を上げてしまう。
 な、なによ…こんなことされたこと無かったのに…
 腰が跳ねて、疼きが止まらない。脚に力が入りすぎてがくがくしてくる。
「んっああああああっっ………」
 軽く歯で咬まれて吸われる。あたしは背中を反らせて達してしまった。
 自分でシテもこんなになったことなんか無い。ましてや、されてもない…
「サト…イッたか?すんげえ、いい声で鳴くのな、おまえ。感度もいいし、慣れてねえとこがまたイイよ。」
「はぁ、はぁ…」
 肩で息をするあたし。実際身体に力が入らない…なのに、アソコだけがヒクヒクといやらしく疼いているのが恥ずかしくてしょうがなかった。
 あたしが抵抗しないのをいいことに、上に来ていたモノもすべて脱がされ、あたしはベッドの上で天野さんの次の動きを待っているしかなかった。
「ナマがいいんだけどよ、まあ、今日は付けとこうか?おまえ、次から産婦人科に行ってピルもらってこいや。生理ん時辛そうだし、その方が楽になるらしいからな。それに、オレもその方が楽だからいいし?いちいち避妊すんの、めんどくさいだろ?」
 何でそんなことしってるのよっ??あ、なっくん、情報源は…けどピルって?
「な、天野さん??何言ってるんですか??」
 あたしはこんな関係続けるとも何とも言ってないのに?

「五月蝿い…」
「んあああっ!!!」

 一気に…貫かれて、あたしは一瞬にして意識を飛ばしてしまった。

「うわあ、気持ちイイ。サトの中って、結構キツイのな。たまんねぇ…」
「あ、あ、だめ、う、動かないで…」
「ったく、しょうがねえなぁ。」
 一瞬すごく優しい目をしてくれたような気がする。
 ホント完全ドラマモード。
 ぎゅって抱きしめてくれるその腕、胸の暖かさ。
 瞬間的に勘違いしそうになるほど、優しくって、暖かくって…まるで本気で愛されてるんじゃないかなって思えてしまう。
 身体は深く繋がって、あたしは天野さんのモノを離そうとしないし、天野さんのモノもまたぐんって大きくなったような??さ、錯覚かな?
「なあ、名前で呼べよな、天野サンだなんて仕事の続きじゃねえんだから、雅弘ってちゃんと呼べ。でないと壊すぞ?」
「こ、壊すって、何を??」
「決まってるだろ?オ・マ・エ」
 ニヤって、またそんな笑い方して…
「あ、あ、ああっ!や、やめてっ…そ、そんな…うぐっ、ぐうっ!」
 膝を頭の所まで折り曲げられての深い抽送が続く。深すぎて奥に当たってすごく苦しい…
「雅弘って…呼んだら…もう、ちょい、優しく、くっ…してやるよっ…」
「はぁっ、あっ…お、お願いします…や、やめて…雅、弘さん…」
 膝を離されて、苦しいほどの快感から解放されたと思った。
 そう、苦しかったけれども、アレは間違いなくあたしにとっての快感…
 あのまま続けられたら、きっと壊れてしまう。
 だって、もう思考力はほとんど残っていない。身体も、もう…

「やっと、呼んだか?けど、やめてやんない。サト、いじめるの楽しいからさ。」
「ふぇ?」
「ほれ、おめえも気持ちイイってここが言ってんから…」
「やっ、う、嘘つきっ!あんっ…あんっ…もうっ、雅弘の馬鹿ぁ!!!」
 優しく角度を変えて揺すられる。声を上げるたびにソコをきつく突き動かされる。
「はっ、止まんねぇ…サト、サトっあっ、締めんなっ…くっ!!」
「やっ、雅弘っ…ああっ…」



 そのままあたしは意識を失ってたみたいだった。

「あ…」
 壁に押しつけられたような窮屈さで目が覚める。
 目の前はやっぱり壁で、そこはあたしのベッドで…何も着てなくて…
 後ろになま暖かいモノがへばり付いてるような?
「なんだよっ、もうちょい寝かせろっ…」
 ごそごそとあたしが動いたので目が覚めたようだ。目覚め最悪の超不機嫌。
 天野さんの寝起きが悪いのは有名。

 昨日のコトは、夢じゃなかったんだ…

 あたしってば、自分の担当タレントと…ヤバイです、ヤバイですって!!
「あのっ、天野さん、起きてくださいってばぁ…ねえ、ちょっとぉ!」
「五月蝿い…朝飯はみそ汁と炊きたてのご飯だからなっ、目玉焼きはダメだぞ、だし巻きが食いてえ。」
「なっ、何言ってるんですか?は、早く帰らないと…天野さん?」
「雅弘って呼べって言っただろ?」
 起きる気配一向になし…
 なんで?ここあたしの部屋なのに…
「早く作りに行かねえと、もう一回朝から襲うぞ?」
 凄んだ声なのに、ニヤって笑ってる、まだドラマモード?
「い、行きます、用意しますっ!…あっ」

 いきなり、足腰立ちませんでした…

「なんだよ、そんなに良かったのか?けどこのベッド狭いのな?次からオレんち来いよな。あ、買い物も済ましてくるんだぜ?早速今晩から来い。ああ、それから仕事行くときお泊まりセット忘れんなよ。」
「……あの…」
 何言っても無駄って感じで寝ないでください…

 それって、またこういうコトするんでしょうか?
 それよりも、あたし、好きとか付き合おうとか、一言も言われてないんですけど??
 何よりもマズイですって、事務所に知られても、マスコミに知られても…危険です。
 それに、バレたとしても、恋愛感情なしだったら、あたしが惨めじゃないですか…それでもきっとファンの人に逆恨みされるんですよ?

「動けねえなら、来いよ、もうちょい、寝てりゃいいだろ?」
「きゃっ!」
 再びベッドに引きずり込まれて後ろから抱きしめられる。



 ねえ、この事態、どう対処したらいいんでしょう??
 いったい、いつまで続くのかなぁ…


 ため息が出てしまうけど、やっぱりこの人を嫌いじゃない自分が居て、少し惨め。
 きっとこんな気持ちはあたしだけだろうから。

 暖かなベッドの中で、お昼過ぎるまでそのまま寝てしまったあたしは幸せなのか不幸なのか…
 それはまだわからない。








                               −END−


          〜物語はまだ続きます。〜






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