プラスチック・ラブ
 ――1――

 さかのぼること6年前
 
平成11年4月。
 Galaxyは、全国区のアイドルとしてブレイクし、人気沸騰中。
 まだ20代半ばの、天野雅弘君のお話です。
 


                                     by kei
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「あ、あたしがですか??」
「うん、悪いけど、天野くんの担当は里理(さとり)にお願いするわね、よろしく。」
「そんなっ、先生!!」
 あたしはコレでもスタイリストのはしくれ。結構有名な白井マキ先生について修行すること2年、専門学校を出てから、ひたすらアシスタントで頑張ってきた。
 白井マキ先生は結構担当アイドルを抱えていて、J&Mもお得意様の一つ。以前からギャラクシーを担当していたけれども、最近は単独出演も多くそれぞれに担当がついていたはずなんだけど…
「しょうがないでしょ?前任の朋子が出来ちゃったでやめちゃったんだから…あの子ったらまさかメイクの正(しょう)ちゃんと出来てたなんてね…とにかく天野くんはちょっと特殊だけど頑張ってコーディネートしてね。」

 天野雅弘、男性アイドル製造会社と名高い芸能事務所<J&M>に所属している5人のメンバーからなるアイドルユニット「ギャラクシー」のリーダーだ。
 およそ男性アイドルの分野では国内最大、他の追随を絶対に許さないその事務所の中でも彼らはデビュー9年目、ゴールデンに自分たちの番組を持ち、破竹の勢いの人気だ。CDもそこそこ売れているし、最近はそれぞれのメンバーが単独で売れ出した。
 緋川拓海は甘いマスクで、もはやそこらの俳優をしのぐ勢いで、ドラマに引っ張りだこだ。他のメンバーもぼちぼちとドラマに声がかかってる中、ハイテンションなノリが受けたのか、リーダーの天野は主にバラエティ、司会業が舞い込んできていた。 
 それと同時にセンスがいいのか悪いのか、奇抜な衣装が個性的だと評判の天野。
 その元凶が本人の途方もない悪趣味な服のセンスにあって、それらしくしながらも見せないとイケナイ、スタイリスト泣かせなアイドルなのだ。
 先の朋子先輩も何度嘆いていたか…

『もう信じられないような恰好で来るのよ!?』
 出された物は着るが、なんだかんだ文句言って、無茶苦茶着崩しては天野風にしてしまうのだそうだ。
「はぁ…」
 ため息ばかりが出る。
 あたしに出来るんだろうか?既にTOPスターである天野に文句言われずやっていけるだろうか…何だかすっごく憂鬱だわ。

「天野くん、紹介するわね、新しいスタイリストの水城里理(みずきさとり)、あたしの下で2年間たっぷり仕込んでるからね。もちろん、あたしもまた見させて貰うからよろしくね。」
「あの、水城です、よろしくお願いします!」
 あたしは思いっきり頭を下げてから彼を見る。金髪に近い茶色い髪、長すぎる前髪をフッて吹いては目にかからないようにしてるのはどうやら癖らしい。
「ああ、よろしく…」
 軽く会釈した彼は、いつも番組で見せるハイテンションなアイドル天野ではなくて、普通の20代後半の疲れたおにいさんて感じで…目つきは鋭いモノの、無愛想にすら見えた。
 何か気抜けするわね。
 今まで若いSAMURAI6とか担当させて貰ってたのでよけいかな?彼らはまだ10代で、あたしのこともお姉さん扱いだったもんね。
 それに比べて…なに?このテンションの低さ。TVで見るのと随分違うじゃない?

「ああ〜〜〜っ!もうくそっ!なんで打てねえんだよっ、そこで!」
 いきなり怒鳴りだした??
「はあ?」
「天野くん、また中継?」
「ああ、山ちゃんごめん、今いいとこなんだよっ!これで勝てなかったら、開幕3連敗だからな、我が愛しのジャイアントはさ。今日はTV中継無いからよ、もう気になってさぁ。」

(あのね、天野くんは大のジャイアントファンなのよ。野球中継中は逆らわない方がいいわ。)
 先生が小さな声で教えてくれた。
 なるほど…って、耳にイヤホンしてラジオで野球中継?どっかのオヤジみたいじゃない。仕事してなかったら、家でビール飲みながら野球中継見てそのあと寝ちゃうタイプなんだろうなぁ、まるでうちのオヤジと変わんないじゃない?
 同じくジャイアントファンの自分の父親を思い出す。



 でもまさか、ホントにそうだったなんて…



「オイ、サトっ!今日はオレにこれ着ろって言うのかっ?」
 担当して既に5ヶ月近く、だいぶ慣れたというか、慣らされたというか…
「ええ、今日はピンでゲストですから、ちょっとナチュラルに、でもインナーは原色、テーマは少年です。」
 あたしが用意したのは野球キャップに原色のTシャツ、膝下の半パン、上からは白のパーカー。身長の低めの彼にはこんな少年っぽい恰好が妙に似合うんだ。一応どれもブランドメーカー物だからね?この派手なカラーのTシャツを着こなせるのは天野くんの他にないってほどの原色ミックス…
「なんだよ、これはまるで子どもの服みてぇじゃねえか?!」
 子どもでしょって言いたくなったのを心の中でとどめる。
 確かに仕事に対してはすごく真剣なのはわかるんだけど、たまに野球中継優先させるし、好き嫌いは激しいし、仕事以外では意外と無愛想…調子に乗るとハイテンションだけど、それ以外では意外とものぐさだったりする。まるで子ども…
 これでもアイドル?って感じだけど、さすがにカメラに向かってる時は芸能人のオーラでてるんだよね…

「サト、おれ喉かわいちった、何か買ってこいよ。」
「そんなの、付き人のなっくんに頼んでよ…」
「今日は来てねぇんだよっ、それともオレに買いに行けつうの?」
「もう…はいはい、わかりましたっ!」
 我が儘〜〜〜!いっつもこんな調子。特にあたしには…ピンと500円玉が飛んでくる。
「オレのと、サトの分も買ってイイからな。」
 ジュースで釣られる訳じゃないけど、実は見た目ほど我が儘でもないんだよね。
 後で聞いたら、なっくんが来てたのに、微熱あるのを見て今日だって休んでいいよって言ったらしいんだ。あとで本人から電話で聞いたんだけどね。
『大丈夫、今日はサトが居るから、あいつに用事させんべ。』
 って、それって…あたしをぱしりに使うってこと前提?
 あたしに対する人使いの荒さにはいつも呆れてるんだけどね…

「はい、どうぞっ!もう、何でいつもあたしだけ、人使い荒いのよっ!」
「はぁ?ん…何でだろうな。ま、使いやすいから?だって暇だろ、オレのメイクすんだらさ。」
「まあ、ね…じゃあ、帰っていい?衣装は後で取りに来るから。」
「なんだよ、おめぇオレの出てるとこ見ねぇ気か?」
 何で見なきゃイケナイのよ…カメラチェックならもうすませたのに…
 じーっっと睨んでる、睨んでます。もうっ、睨まないでってば!!
「わかりましたっ!はいはい、最後まで付き合いますってば…」
 ぶちぶちと文句を言いつつ天野さんのヘアを直していると、誰かが控え室に入ってきた。
「ほんと?里理ちゃん?じゃあ、すまないけどさ、今日は終盤まで付き合ってもらえないかな?白井さんには言っておくから。」
 ギャラクシーのチーフマネージャーの風さんがそう頼み込んできた。なっくんが急に休んで飛んできたらしいけれども、これからマネージャー会議があるそうで、次の収録先について行けないらしい。
「今日に限ってみんなバラバラらで収録なんだもんなぁ、手が足りないよ…」
 ちょこっと愚痴って帰っていった…
「あたしだって予定がっ!」
「何だよ、この後仕事あんのかよぉ?」
「な、無いけど…」
 そんな、タレント掛け持ちするほど、需要がありません、あたしは…ハイ。
「だったら、つきあえよ。どうせ、衣装持ってついてくんだろ?」
「それは…」
 そうだけど、付き人マネージャーって仕事終わる最終まででしょ?あたしソコまで一緒に居なきゃなんないわけ?
 苦手なのよね…天野さんって。まあ、相手が売れっ子のタレントて言うか、アイドルな訳だし、気をつかうって言うか、こっちが何でも言うこと聞かなきゃいけないって感じでさ、それ判ってて、結構意地悪なこと言ってくるんだよね…我が儘って言うよりも、めんどくさいことは人にやらせるのよ、この人ってば。

案の定…

「な、飯食いにいかねぇ?」
 つまりは家に帰ってご飯を作るのが面倒くさいと言うことで。でも夜も遅いし、あたしはタクシーなんて使えないから、電車のある時間に帰りたい。それに家ご飯主義なのよね、あたしって。
「あのっ、出来ればあたしはもうお家に帰りたいなぁって…」
「何だよ、もう帰るのかよっ?おまえ飯はどうすんの?」
「どうするって、普通に家で作りますけど?あたしは天野さんみたいに毎食外食できるほどお給料たくさん貰ってないんですっ!」
 今日はご飯は仕掛けてきたし、昨夜作った肉じゃががあるから、おみそ汁こしらえて、さかな何か買って帰って焼こうかなぁなんて頭の中で思い浮かべる。食費も自炊すれば美容にもいいし、うまく節約できるから、少しでも洋服代の足しになるのよねぇ。だって意外と買い取りとか多いし、ショップ回ってたら、欲しい物も多いしさ…
「へえ、サト、料理できんの?なな、それ一回オレに喰わして?」
「はあ?何であたしが天野さんに食べさせなきゃいけないんですか?」
「だったら、オレ材料費出してやるからさ?」
 なに言いだすんだろ…この人。


 で、あたしのアパートに、どうしてこの人が居て、ビール飲んでるわけ?
「あの、フォーカスとか、スクープとかされません、大丈夫なんですか?こんなとこ来て…」
 考えてみれば非常に危険だよね?売れっ子なんだし、一応曲がりなりにも女性の部屋なんだし…来る前にそんな心配ナイナイと一笑に付されてしまいましたけどね。ハイハイ、あたしに女性的魅力なんてありませんよね。日頃から天野さんにはぼろくそ言われてるし、みんなで飲んだコトなんてしょっちゅうだけど、そんな雰囲気にはこれっぽっちもなったことがないしね。
 でも、見つかったらそんなわけにいかないでしょう?天野さんの事務所は厳しいって有名だし。
「あん?臨時の付き人のとこに寄ったぐらいで何言ってんだよ?それにオレとサトがいつも喧嘩してんのみんな知ってるだろが?」
「まあ、そうですけどね…じゃあ、食べたらさっさと帰ってくださいよ?」
「オレさ、最近手料理に飢えててよぉ」
 もしもし?こっちの言ってること聞いてない?ビール2本目開けてるし…
「天野さんならいくらでも居るでしょうに…作ってくれる人。」
「だめだめ、ファンとかさ、そう言うの…もう作らしたら勘違いしまくって、後が大変なんだからよぉ。」
 それって、あたしだったら、勘違いしないってこと?確かに、しないわね…でもって、まともに付き合うのがめんどくさいって感じだね。はあ、最低な男かも…こんなのに捕まったら振り回されて尽くさせられて、ぽいって捨てられそうだわ。
「サトはさ、オレのことアイドルみたいに偶像化してみたりしねえだろ?けど、ファンはよ、理想ばっか押しつけてくるんよ。」
 そりゃまあ、地を見てますから、どうやっても見れません。
「おまえの好みは緋川みたいなの、だろ?けど、あいつはダメだぜ…」
「そ、そんなの判ってますよ!!はい、おつまみにどうぞっ!」
 あたしは手早く作った山芋のなめ茸和えなんか差し出す。ヤバイ、憧れてたのバレてる…
 誤魔化すためにぽんぽんと手早く作ったおつまみを差し出す。つい、実家でオヤジに作ってるのと同じにしてしまう。まあ、同じだわね、既にプロ野球ニュース見てるし。
「サトってさ、口調とかホントつけんどんだけど、料理はうまいのな?」
 そうなのよね…実は、オヤジさんがいい年して再婚するまで、親一人子一人で、結構健気に主婦してたんだけどね〜高校2年の時にいきなり若い女の人連れてきて結婚するって言いだして、またその人が家事出来なくて、3年間で必死に仕込んであたしは家を出たのよ。もちろんすぐに生まれた乳児の世話まで…たまには帰るけど、未だにあたしの方が母親らしくって、怖いのよね。
「まあ、ね、主婦歴長かったですから…おみそ汁と、肉じゃが、それと、今魚焼けますから、好き嫌いしないでくださいね。したら即帰って貰います。」
 以前にそんなことちらっと話したことあったっけ…飲んでたときかどうか忘れちゃったけど。
 結局は買い出し山ほどしてきて、差し出された1万円札、ほとんど使ってやった。
『普段ろくなモン喰ってねえんだろ?ガリガリだもんよおまえって。好きなだけ買ってくれば?』
 なんて言うから。でもお米まで…ってちょっと買いすぎたかな?お刺身もちょこっと付けたりして、何だかすっごく豪勢な食卓だわ、久々に…あたしも食べよっと。

「なあ、ポン酒ねえの?このメニューなら、ビールの後は日本酒でしょうが。」
 ってオヤジと同じこというなぁ!!日本酒飲むと尻が重くなるでしょうがっ!男の人は…
「え?ないの?無かったら買ってこいや。」
 既にそれは命令?財布が今度は丸ごと渡される。結局逆らえず、あたしはすごすごと買いに行く…再び彼の財布を握りしめて。

 ほんとに、あれでアイドル??
 まあ、27にもなってアイドルって言うより、もうタレントかもしれないけど、女の子は相変わらずキャーキャー言ってるよ?
 そりゃあまあ、顔は確かに…つり目の鋭さとか、意外と顔小さいとことか、踊ってるから身体は結構締まってるとか、まあ、格好はいいかもだけど…あの性格にはついていけないわ。
 それでかな?意外と女性の影がないように思えるのは。きっと女性と付き合うのもめんどくさいんだろうね。携帯もメールもほとんどしないって前に言ってたし…

「はいっ、これでいいですか?」
 遅くまで開いてたリカーショップで有名な銘柄の生酒を買ってきた。腹が立ったのでもっと高い久保田とか買ってやろうと思ったんだけど、一升瓶は重いからやめた。
 何で腹立ってるかって?
 だってさ、財布の中、よぉく見たら、入ってたんだもん!!
 ひ、避妊具の入ってるメタルカラーの袋が…
 どーんって目立つとこに…嫌がらせ?そりゃさ、男の人が財布の中に入れてるって知ってるけど、そのまんま渡すこと無いじゃない?こんな、見えるとこに、入れたまんま!
「サトは飲まねぇの?」
「飲みませんっ!」
「ふ〜ん、飲めねぇんだ。」
 すっかりくつろぐなっ!人の部屋でっ!
「もう、飲めます!日本酒ぐらい。でも今日は飲まないんです!まあ、好きは好きですけど。」
「だろうな、こんなの買って来るなんて、結構好きと見た。おめえはよ、帰らなくてもここが自分家なんだから、構わねえじゃん?俺も明日は夜からだし、ってことはおめえだって暇なんだべ?」
 嬉しそうな顔して言うなっ!スタイリストの仕事馬鹿にしてない?
「あのね…天野さんが夜からってことは、あたしはそれまでに衣装用意しなきゃならないってことです!店回りしなきゃいけないのに、暇じゃありませんっ!」
「まあ、そういわずに少しぐらい飲めよ?」
 きつめに言ったのに全然悪びれることもなく、ちょっと真剣な声と目つきに変わってる…
 反則だよ、それ…だって、司会やってる時と違って、ドラマモードの天野さんって、目つきが鋭くって、どんどん引き寄せられそうになるんだよ?
 ダメッ!心臓切り替えなきゃ…あたしはざわつく胸の音を押さえ込んで再びカレをにらみつけた。
 天野さんは、自分グラスになみなみと注いではぐいぐい飲んでる。なんだか、いつもとテンション変わってきてません?
「ヤです!もう、いつになくしつこいですね、下心でもあるんですか?」
「当たり前だろ?下心もなしに女の部屋に来るか?」
「だからはやく食べ終わったら…って、へっ?」
「ったく、冗談だよっ。フフン、いいからおまえも喰えっつうの。」
 ニヤニヤと笑いながらあたしのグラスに生酒を注いでくる。
 やだっ!もう、またからかわれた?もう…飲んでやるぅ!!

「サト、ほんとに料理うまいよなぁ、たまにでいいから作ってくんねぇ?オレもう外で喰うの飽きちまってよぉ。」
「余所でそういう人探してくださいっ!」
「この味気に入っちまったんだよ。なぁ…?」
「ヤですったら、ヤです!もう、なんで天野さんのために作らなきゃなんないんですか?」
「なんでって…理由が要るのかよ。ケチっ」
 またまた今度は拗ね拗ねモード?ちょっと怒ったような顔がほんと可愛くて…っ
 て、えっ?
 違う違う可愛くなんて無いっ!!若く見えるけど、あたしより5つは年上なんですからね。
「理由って、そういう問題じゃなくってですね…えっ??」
 あれ?
「理由つくりゃいいんだ。」
 何で近づく?なんなのこの体勢?
「な、天野さん?その手は、なんなんでしょう?」
「何って、サトに手出してる。」
 じりじりと詰め寄られて、あたしは自分のベッドまで追い詰められていた。
 ああ、これだからヤなんだ、こう言うときワンルームは…ってこういう時??
「あ、あ、あのっ、来る時言いましたよね?御飯食べさせてもらうだけだって。」
「ああ、言ったね〜うまかったよ。」
「じゃあ、なんで??な、なんにもしないってっ、あたしじゃその気にならないんじゃなかったんですか??」
「誰もそんなこと言ってねえけど?」
「だって、えっと、あたし、臨時の付き人だし…いつだって喧嘩してるし、天野さんだっていつも言ってるじゃないですか、おまえは生意気だとか、女じゃねえとか、イロイロ言って…」
「言ってたよ、真実じゃん。ホントに生意気だし、口悪いし…けど女じゃないかどうかは試してなかったな。だって、おめえの作る飯が旨ぇんだもん。女みたいだよなぁ?だから、女じゃねえは撤回。」
 それって…食事のために撤回ですかっ??今は撤回して欲しくないよ…もう逃げるとこなくて、天野さんのいつも付けてるコロンが間近で香るぐらいの距離で…
「う、嘘つきっ!!」
「っていうか、おまえ馬鹿?男を部屋に入れといて、それ言うか?部屋に入れたのもおまえだし、料理作って酒飲ましてくれたのもおめえだろうが?それに…」
 照明の影になってるけど、天野さんがニヤって笑ったのがわかった。その手があたしの両手首を捉えてそのままベッドに引きずり上げられて、押さえ込まれる。
 目の前にあった唇が、頬を掠めてそのまま耳元まで降りてきて小さく囁いた。
(財布の中見たんだろ?アレ見といて、気がつかねぇって、よっぽど鈍いぞ?)
 へっ?あ、あの…あたし、もしかして、嵌められたの?
 って言うか、今からほんとにハメられちゃう?って誰かさんみたいな親父ギャグ言ってる場合じゃないわっ!











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