私……何やってんだろ。
「末永さん、悪いんだけど、食堂からお茶とってきてくれる?」
「あ、はい」
物思いに更ける暇もない。
窓の外の景色を見ていた真白は、慌てて背後を振り返った。
「それおわったら、松田のおばぁちゃんの相手お願い」
「は、はい」
す、すごい忙しいんだけど。
まだ、自分の朝食も食べていない。
真白は掃除機を止めると、階下に向かって急ぎ足で駆け出した。
ボランティアの、簡単なお手伝い。
という名目でここに来てから、もう二週間がたとうとしている。
ついた直後から、荷をほどく間もなく、掃除、洗濯、調理場の手伝い、配膳、風呂場の掃除、と、あらゆる雑務が、待ち構えていたように課せられた。
「介護なんて無理です、資格もないし」
「大丈夫、専門スタッフがいますからね、君がすることなんて何もありませんよ」
「本当ですか」
と、事前に念を押していたはずなのに、結局は、入浴介護、排泄、食事の世話、無論、資格者のサポートつきではあるが、まるで介護実習生のように、あらゆることをやらされている。
特養老人ホーム、息吹の里。
外では、色々なことが起きている。
施設に住み込みの真白がそれを知ることができるのは、夜、自室で見るテレビか新聞、雑誌の類からでしかないけれど、8月10日、ストームが正式に解散したのを最後に、ストーム関連の記事は、ぱったりとなくなった。
本当に、嘘のように、ある意味残酷なほどのあっけなさで。
しかし、今の真白には、そんなことにさえ、感慨に更ける暇はない。
寝ていても、夜中に必ず「事件」が起きる。失禁、徘徊、発作、等々。
常に人手が足りないこの施設で、真白はすでに、重要な戦力の一人だった。
―――このまま……ここで資格とって、働く、とかになるのかな。
階下の食堂でヤカンにお茶を淹れながら、真白は、ふとため息を漏らしていた。
まぁ、そうなるんだろうな。
介護ヘルパー。今まで全然興味のなかった分野だし、したかった仕事というわけでもないけれど、他に、選択肢なんてないんだろうし。
あのまま家にいても、家中の迷惑になるだけだった。
大学に行くのさえ反対した父が、娘を早く仕事につかせたかったのは知っている。多分、これでいいんだろう。これで、悲しませてしまった人たちが、少しでもほっとしてくれるなら。
―――罰、だよね、多分。
もっと早く、自覚しなきゃいけなかった。
さほど裕福でもない家庭で、県外の大学に行かせるだけでも大変な出費だったはずなのに。
それを。
「…………………」
叱られて当然だ、殴られて当然だ。
さして目的もなく、ただ、故郷を離れたいためだけに選んだ大学。
経済的な理由から、姉は地元の短大しか許されなかった。が、父も母も、自分には昔から甘い、姉も今は働いている、そんな甘えもあったのだろう。
「末永さん!」
しかし、ここでは、悔悟の涙を流す間もないのである。
「はっ、はい」
「早くして、前田のおばぁちゃん、待ってるじゃないの」
「すいません」
階段の上から、怖い目でにらんでいるのは、看護士の花園桜子。みんなから「サクラコ」さんと呼ばれているが、実際には「オウコ」と読む。
名前だけは深窓のお嬢様のようだが、五十過ぎのいかつい体格の女である。
ここに来た最初から、真白の指導は、この女の役目だったし、今もそうだ。
とにかく厳しい。まかりまちがえば命に関わる現場だからその厳しさも理解できるが、「グズ」「ひっこんでなさい」一欠片も容赦がない厳しさに、初日、思わず真白は泣いてしまったほどである。
「サクラコさんの新人イジメはいつものことだから」と、他の職員になぐさめられはしたものの、苦手意識はどうしても消えない。
重いヤカンを抱えて、階段を駆け上がる。なんだか、意味なもく体力がついてしまった。二の腕が、太くなった気がするのは、気のせいだといいんだけど。
踊り場の窓から、夏の日差しが差し込んでいる。8月も半ばすぎ、世間でいえば夏休みもそろそろ終わる。
―――澪は、今……何をしてるんだろう。
最近、不思議なほど静かな気持ちで、澪のことを考えられるようになっていた。
「末永さん!」
「はいっ、いますぐっ」
真白は感慨を振り切って駆け出した。
今日も暑い一日になりそうだった。
act11 明日へ
1
「どうして予備校に行かないんだ」
澪は無言で目を逸らし、苛立ったその声を無表情でやりすごした。
「お前は頭がいいんだ、大検くらい簡単だろう、どうしてだ、一体何がしたいんだ」
「………………」
壁を、激しく叩く音がした。
「一生、そうして甘えて生きていくつもりか!」
「………………」
殴ればいいのに。
冷めた目で見上げても、父はそのまま動かない。
澪は立ち上がり、オーディオのスイッチを入れた。
「……澪、」
貯金はある。
いざとなったら、出て行けばいい、こんな家。
こんな男の世話になって生きていくくらいなら、野垂れ死にした方がまだマシだ。
祖母と祖父の存在がなかったら、とっくにそうしていただろう。
背後で、音をたてて扉が閉まる。
それでも閉まった瞬間、不思議な怒りを感じ、澪は、傍らの椅子を蹴り上げていた。
「…………………」
どこにぶつけていいか判らない、やるせない感情。
自分が間違っているのも、甘えているのも自覚している。
なのに、この場所から、前へも後ろへも進めない。
澪にとって父親とは、いっそ、殺してしまいたいと思うほど、憎しみと失望と、憤りの対象だった。
兄が自殺した後、父は一方的に、母と、そして澪を責めた。まるで全ての原因が2人にあったかのように怒り、それが当然の権利のように、自身は家庭を顧みなくなった。
今回も、あの時みたいに責めればいい。
胸ぐらを掴んで、「お前が殺したんだ」と叫んで、そして殴ればいい。
実際、俺のせいで、
「……………………」
無感動に流れる涙を拭い、澪はそのまま、壁に背を預けて目を閉じた。
もう、戻らない。
残酷な光、持ち上げて叩き落す、それを喜ぶ人の本性。
芸能界――あの場所には、もう二度と、絶対に戻らない。
誰の愛もいらない。本当に欲しかったものは、大切なものは、もう二度と戻らないところにいってしまった。俺が、あんな場所に拘ったばかりに、みんな。
お袋も、真白も。
将君も。
そして、ストームも。
これから、一体どうやって、自分は生きていけばいいのだろう。
ノックの音。
澪は、涙の残滓を拭って顔をあげた。
「この家を出て行け」
父親の声。
暗い影が、照明を落とした扉の向こうに立っている。
澪は、目を合わさないまま、顔をそむける。
「お前に、贖罪の気持ちがあるのなら、」
しかし、父の声には怒りというより、どこか迷うような苦しげな色があった。
「仕事をしろ、お前みたいな男でも、引き取ってやるという奇特な人がいる、どんな色眼鏡で見られても、お前はその人の申し出を断れないはずだ」
「………………」
一体、なんの話だろう。
澪は初めて顔をあげ、見たくもない父親の顔を凝視した。
「末永さんの家に行け」
「…………………」
「あの家の娘は、今東京で仕事をしている。客に頭を下げて働くことの厳しさを、お前も少しは味わってみるといい」
2
「こんにちは…」
怖いほど静まり返っている。
聡は、おそるおそる扉を開けて、薄暗い室内を見回した。
冗談社。
国道沿い、今日も建物は揺れている。
で、今日はなんだか、ビルごと陰気に静まり返っているような気がするのは、気のせいだろうか。
「なんだ、あんたか」
「うわっ」
熊???
のっそりと、いきなり視界を遮った巨大な影。
「く、九石さん?」
「あー、飲みすぎたわぁ、夕べは」
飲みすぎ?
固まる聡の前で、ケイはこきこきと腕を回した。
「上のスメラギさんが、ヒルズ族になるっつーんで、もうここで、朝までドンチャン騒ぎだわよ」
スメラギ。
煌探偵事務所、このビルで、冗談社以外に唯一入っていた胡散臭い会社だ。
それで、この建物全体が、妙に静まり返っていたはずだ。結局最後まで探偵の顔は見ることができなかったが、一体どんな人たちだったんだろう。
「六本木ヒルズに引っ越すんですか」
もしかして、J&Mの後とかいう、笑えないオチだったらどうしよう。
すでに会社の全てをニンセンドーに移譲したJ&Mは、六本木ヒルズを撤退した。唐沢社長を除けば、社員のほぼ全員が、新会社と再契約をし、その名称は「ニンセンドープロダクション」。
聡も今は、その新会社の一員である。
ただし、条件は以前と大きく違って歩合制。キッズ時代に逆戻りだ。仕事がなければ、給料もない。
「しっかし、これであたしの収入は激減よ、飲み代ぐらいじゃ腹のムシがおさまんないわよ、どうすりゃいいのか、ったく」
ケイは腫れた目で大あくびをし、乱れた髪をごしごしと擦った。
「で、なんの用?」
「あー、ちょっと、取り上げてもらいたいニュースがあって」
室内のあちこちに、昨夜の戦いのあとが残っている。
ソファの上で、死体のようなリアルさで、うつぶせに倒れている高見ゆうり。
トイレでは、人とは思えないもののうめき声(消去法でいけば大森妃呂)がする。
ここにいない人の思い出を、聡は、無表情で押し流した。
「今度、映画に出ることになって、俺」
「そうなんだ」
聡は、大森の椅子に座りながら(来客ソファには死体が転がっているため)、手にした封筒から企画書を取り出した。
「主役?すごいじゃん」
それを取り上げたケイが、即座にそう言ってくれる。
「っても、自主制作で、僕も出費してるんですけど」
「ミラクルマンの仲間で作ってるんだ、へぇ、監督が尾崎君か」
「彼、俳優より、監督志望だったみたいで」
尾崎智樹。
当初、ミラクルマンセイバーの主役候補で、メンズなんとかいう美少年グランプリを勝ち抜いた色男。
で、撮影のはじめ、聡を徹底的に無視して、精神的に追い込んでくれた男でもある。
「もともと芸大で、自主制作映画で色んな賞を取るくらい才能あるヤツだったんです。仕事の合間に、ずっと今回の映画を企画してたみたいで……で、僕に、声かけてくれて」
最初は信じられなかった。
あんな形で、仲間を裏切り、そして「セイバー」を放送中止に追い込んだ自分に、そんな話がくるなんて。
「……すごく、嬉しかったから」
それでも多分、J&Mが、そしてストームがあんなことにならなければ、受けたくても受けることはできなかったろう。
素人とも言える監督の、上映館さえ決まっていない自主制作映画。今の時点で、ギャラさえ出ないことも聞いている。
「よく、あんたの事務所がオッケーしたね」
企画書を読みながら、ケイ。
「他に、仕事なんてないですから」
「ふん……」
「その仕事だって、よく僕に来たなって、そんな感じなんですけど」
「まぁ、素人が主役張るよりは話題になるからだろうね、元ストーム、元J&Mの看板アイドルが主役なら」
ケイは、わりに残酷なことをあっさり言うと、それを机の上において、立ち上がった。
「いいんじゃないの?こういった素人の映画が、一気に話題になることもあるからね。ただ、あんた、本当にこんなもんに出たいわけ?」
いや、企画は悪くないんだけどさ。
そう言い直し、ケイはコーヒーサーバーに向かう。
「あんた、俳優志望だったっけ、どうもイメージ的に合ってない気がするからさ」
「………………」
そう言われても、と聡は戸惑う。
仕事選べる立場じゃないし。
それに、年齢や性格を考えると、役者以外の道でしか、もうこの世界で生残る術はない。
ただ、出費額が戻らない覚悟で誘いを受けた背景には、迷惑をかけたみんなに、こんな形ででも謝罪ができたら、という思いがあったのは事実だった。
「雅君は舞台だっけ」
「はい、崖っぷちサッカー部で一緒だった人たちと、秋から東京のみでやるみたいなんですけど」
かつてりょうが参加した劇団よりも、さらに格下の小さな市民劇団。
公演先も、区民センターとか、市民会館とか、そういった小さな箱だ。専門誌以外では、話題にもなっていない。
結局は、雅之も、聡も、培ってきた仲間の友情に助けられて、今、なんとか、この芸能界の隅っこに引っかかっている。
「まぁ、頑張ってるってわけだ、君たち2人は」
室内に、コーヒーの香りが漂い始める。
「憂也が……まぁ、とにかく、すごいことになってるから」
聡は、ケイの、やや皮肉めいた言葉に、それを汲み取って呟いた。
綺堂憂也ハリウッドデビューのニュースが、鮮烈に列島を駆け巡ったのは、先週の日曜のことだった。
冗談のような、本当の話。
共同通信が流れた時は誰もがデマかと思ったが、その日の夕方には、記者発表の映像が入ってきた。
世界的に有名な監督ジョージ・ルカスの、アカデミー賞をも視野に入れたエンターテイメント映画。制作費百五十億円、脚本はスティーブ・スピルバーク。
カメラオーディションを見事勝ち抜いたという憂也は、準主役ともいえる重要な役を、その大作映画で手に入れた。
「日本人は世界に弱いからねぇ、ストームをあんだけ叩いてた連中が、今やもろ手をあげて、綺堂様様だ」
快挙
日本人初
アカデミー賞助演男優賞候補確実
などと、まだ公開どころか、撮影もされていないのに、そんなロゴが新聞の一面を飾っている。
憂也、英語なんて喋れんのかな。
理由のない寂しさと共に、そんなことしか、聡には浮かばなかった。
もう、過去の思い出だ。憂也のことは。
傷つけて、そして傷つけられた。
残酷なほど冷たいことを言われたし、自分も言った。
どちらももう、思い出したくもない。
独立した憂也は、今や活動の拠点を海外に移している。契約した映画やCМ撮影のために時折日本に戻ってはくるものの、それが全て終われば、もう、日本には戻らないのかもしれない。
「まぁ、比べられるのは仕方ないけど、僕らも一生懸命やってるから」
聡はそう言って立ち上がった。
「一生懸命ねぇ」
ケイが、鼻で笑う気配がする。
「あたしから見れば、ただあんたは、ひたすら受身なだけに見えるけどね」
その手の嫌味を言われることは、最初から覚悟していた。
「否定はしませんけど、俺は、憂也みたいにはなれないから」
聡は一礼してから、退室しようとした。
最近は、どこに行っても、何かと憂也と比べられる。
勝ち組、負け組み、露骨に、そんな言われ方をすることもある。慣れたとは言え、気分がいいものではない。
「あたしに言わせりゃ、柏葉将が逮捕された後、本気でマスコミと戦おうとしてたのは憂也くらいだよ」
聡の背中で、独り言のような声がした。
「あの子は頭がいいからね。柏葉将なんて、憂也に比べりゃ、まるで子供も同然だったよ」
「……………」
さすがに聡は、足を止めていた。
なんでそこで、将君と憂也を比べるんだ。
将は実直で、そして正直で、そして憂也は、合理的にそれを切り捨てようとしてただけじゃないか。
成功者は憂也かもしれない。しかし、聡には、そういう生き方は共感できない。
「やれやれ……本当に内部崩壊だったんだねぇ、あんたたちに限ってそれだけはないと思ってたけど」
ケイの嘆息。
「あの場合はね、東條聡」
黙ってうつむく聡の前に、ケイは、静かに立ちふさがった。
「ストームは、柏葉将を見殺しにしてでも、大きくなるべきだったんだ、誰も文句が言えないほど、強く輝く光になるべきだったんだよ」
「………………」
無理だよ。
心の中で、聡は即座に反論する。
憂也以外、ほぼ全員が、スキャンダルで潰れていたあの時のストームに、一体何ができたというんだろう。
「柏葉将のことだけじゃない。全部そうだ、世間の反発を覆すにはどうすればいいと思う?有無を言わせない存在になることだ、勝つことだ、それだけしかないんだよ、そうやって雑音を黙らせるしかないんだよ、ファンはちゃんとついてくる、やがて大衆はそれに迎合する、時間はかかるかもしれないけどね」
「…………………」
「柏葉将が、もしストームに戻ってくる可能性があるとすれば」
将君が、戻ってくる可能性。
「それしかなかったんだよ、東條聡」
それしか。
ストームが、有無を言わせない存在になることしか。
「それを知ってたのは、残念だけどあんたたちの中じゃ、憂也だけだったみたいだね」
ふっと息を吐き、ケイが聡の前から歩き出した。
違う。
憂也に、そこまでの。
「ま、……今となっちゃ、もう手遅れだけどさ」
憂也に、そんな。
いくらでも浮かぶ反論は、しかし一言も言葉にならない。
「ミカリさんも、今頃ほっとしてますよ、こんな情けない男と別れて正解だったって」
背後で、そんな声がした。
大森妃呂が、蒼白な顔で立っている。その顔色の悪さは、たった今まで吐き続けていたからだろう。
「ミカリさんの決断を受け入れた東條さん、少し見直してましたよ。でもなんの意味もないじゃないですか、ストームなくなっちゃったじゃないですか!」
「………………」
ミカリさんの、決断?
俺が、傷つけてしまった人。
俺が手を離してしまった人。
俺が、実はあの人なんか見てなくて、自分のことしか考えてないって、それがあの夜、多分、お互いに判ったから――
(このまま、時間が止まったらいいのにね)
あの時、俺は、あの人と一緒に立ち止まるより、先に進みたいと思ってしまった。
そう言ってしまった。
いつの間にか、自分本位の、甘えるだけの立場になってしまっていた。
「……大森さんに、何が判るっていうんですか」
聡は、低く呟いていた。
追わなかった。探さなかった。
憂也の言うとおりだ。それも、自分で決めたことだ。
ストームのためだと言い訳しても、それも結局は自分で決めた。ミカリがどれだけ大切でも、ストームの存続がかかっていたあの頃、聡には、ストームに代えられるものは何もなかった。
「俺の気持ちも、あの人の気持ちも、何が判るって言うんですか」
幾晩か一人で苦しんだ後、血を吐くほどの思いで、決断した。
別れた方がいいんだと。
立ち止まれない以上。
ミカリが、今の関係を望まない以上。
今は、これしかないんだと。
なのに、他のみんなは、
「何もわかってないのは、あんただよ、エセヒーロー」
唇を震わせる聡に、ケイが、嘆息まじりに呟いた。
「ミカリはね、あんたたちを潰すものの正体が、あの時、すでに見えていたんだよ」
「………………」
俺たちを、潰すものの正体。
さすがに意味を図りかね、聡は顔をあげていた。
それは、どういう、
「かつて、ミカリもそれで潰れた。逃げる以外どうしようもないって、判ってたんだろうね。でも、あの子は戦ってるよ、今だって戦ってる、あんたは一体何をしてるんだい?」
ミカリさんが、戦ってる――?
何と?
意味が判らない、眉を寄せたまま動けない聡に、ケイは紙切れを突きつけた。
「パブリックジャーナリスト、ライブライフがやってる市民参加型のジャーナリズム開拓の一環、ミカリの文章だ、あたしは一目で判ったよ、ミカリは今でも、必死にあんたたちを支えようとしてるんだよ」
※この物語は全てフィクションです。
|
|