18



「真白は?」
 開口一番の夫の声に、末永美和子は、目を伏せたまま首を振った。
「部屋にこもったまま、食事も食べられないみたいで」
「………………」
 朝の仕入れから戻ったばかりの夫は、硬い唇を引き結び、わずかに嘆息したようだった。
「片瀬さんの所に行ったとき、もしかして、会ったのかしら」
 焼香を終え、夫婦で車に戻ると、娘はすでに、目を赤く泣き腫らしたまま、ものも言えない状況だった。
「七生実ちゃんが来てくれて、少しは元に戻ったと思っていたのに」
 上着を脱いだ夫は、無言のまま、作業着を羽織る。
「真白……やっぱり、しばらくどこかで静養させた方が」
「それでどうなる」
 いつもの問答。
 美和子はかすかに嘆息した。
「あなたは、甘やかすなというけれど」
 もの言わぬ夫は、そのまま準備中の店内に向かう。
「私に実家にでも預けてみたらいいと思うの、目と鼻の先に片瀬君がいるのに、このままじゃ真白が可哀想で」
「……………」
「あなた」
 手を洗い、無言で包丁を持つ夫に、たまらず声を荒げていた。
「周りに気を使われ、甘やかされ、気持ちを落ち着ける、それでどうなる」
 夫の声は冷たかった。
「真白には、私たちよりまだ長い人生があるんだ、ここを立ち直れなくて、一体どうするというんだ」
「じゃあ、私たちが、真白に何をしてあげられるというんですか」
 さすがに、美和子は声を途切れさせた。
 あんな、ぼろぼろに壊れた娘の姿を。
「ただ……見てるだけなら」
「片瀬の家でも、息子を海外の親戚に預けると言っていたよ」
「……………」
「そんなことをしても、何にもならないと言ってやったさ、一度は家を捨てて飛び出した息子を、失敗したからといって甘やかしてどうする」
「あなた……」
 夫の他人への厳しさは、同時に自分への過酷なまでの厳しさだ。
 五十すぎても三時に起きて、仕入れ、素材の下ごしらえ、技術の丹念に余念のない夫の姿勢は、若い頃から一筋も変わりはない。
 また、十代で家を飛び出し、腕一本で生き抜いてきた男は、人生の辛酸をもまた、妻の想像できないくらいの激しさで舐めている。
 独立してからは親の借金をも背負い込み、どれだけどん底にあっても、淡々と包丁を振るっていた男。
「………どうしたらいいと、思ってるんですか」
 その夫が、唯一弱音らしいことを漏らしたのが、今回の騒ぎだった。
「仕事をさせようと思っている」
 仕事。
 どちらかといえば、大学を辞めさせたことも反対だった美和子は眉を寄せている。
「落ち着いてから、もう一度勉強させてあげともいいと思いますけど」
「落ち着けばな、真白がそれを本気で望めば、好きにすればいい」
 夫は菜を切り始める。
 騒ぎで激減した客は、近所の人を中心に、少しずつだが戻ってきた。まだ、通常にはほど遠いものの、ようやく末永家にも平穏が戻りつつある。
「片瀬君は……どうするつもりなのかしら」
 夫の感覚が、現代っ子の娘に通用するだろうか、かすかな危惧を感じながら美和子はそう呟いていた。
「今日も、片瀬の親父が、留学だの受験だの言っていたから、仕事をさせろと言ってやったよ」
「行かれたんですか」
 さすがにそれには、驚いて眉をあげる。
 片瀬家から見れば、息子をこんな目にあわせた末永家は、むしろ疫病神のようなものだろう。先日の焼香の時も、いかにも迷惑気な家人の目が痛かった。
 あの家は、片瀬の長兄――片瀬澪からすると叔父にあたる人が継いでいる。祖父と祖母が健在だというが、その中にあって、片瀬澪も父親も、いってみれば居候のようなものだろう。
「市場で会ったんだ」
 夫の声は淡々としていた。
「あれが仕切っている、そこで仕事をさせればいいんだ」
「……魚市場で、ですか」
 それは有り得ないだろうな。
 と、夫の昔かたぎの感覚に、美和子は思わず失笑する。
 夫と片瀬澪の父親が、同窓だったと知ったのは、焼香の時が初めてだった。最もほとんど交流はなかったらしい。船元の次男坊で地元の神童と呼ばれた男と、貧乏食堂の跡取り息子。接点などなかったのだろう。
「ちょっと、末永さん」
 音を立てて勝手口が開いて、どこか慌てた声と共に顔を除かせたのは、隣家のクリーニング屋の妻だった。
「あ、あんたんとこに、すごいお客さんが」
「え?」
 せっかちでどこか抜けた所のある女は、興奮気味に外を指差す。
「とんでもない車で来てるから、もしかして、東京の芸人さんじゃないのかねぇ」
 芸人?
 夫と顔を見合わせてから、美和子は様子を伺いに外に出る。
 まず、見慣れない色彩が目に飛び込んできた。
 鮮烈なほど真っ赤な車、国産車ではない、このあたりでは、まずお目にかかれない高級車。
 そこから出てきて微笑した人を、美和子は、半ば口を開けたまま、見つめていた。



                19


「転院した?」
 雅之は持った受話器を握りなおしていた。
「あの、病院は……、はい、いえ、僕は身内のものなんですけど」
 背後のキッチンでは、母親が、多分聞き耳をたてている。
「わかりました、いえ……すいません、失礼します」
 雅之は、沈うつな気持ちで電話を切った。
「雅君、ごはんどうする?」
 どこに架けてたの?
 母の目がそう問っている。
「うん、ちょっと後で」
 取り繕った笑顔で言い、雅之は自室に続く階段をあがった。
 内心、不安と焦燥で、駆け出してしまいたかった。
―――恭子さんが、消えた。
 おそらくマスコミを警戒してだろうが、病院は、転院先を教えてはくれなかった。
―――嘘だろ。
 担当医は、この病気では日本の権威で、絶対に変えたくないって言ってたのに。
 りょうの母親のことが、何故か妙に重なって連想される。
―――まさか、馬鹿なこと考えてねぇよな、恭子さん。
 後援会が解散になったのはもちろん、募金の一部の返還を求められたり、手紙や電話で激しい中傷をされたり、梁瀬恭子が、非常に厳しい状況に追い詰められていたことは、知っていた。
 でも、それを逆手にとって、雑誌に記事を書いたり、テレビに出演してみたり、ずっと頑張っていたはずなのに。
 自室で、無駄だと知りつつ、携帯電話にかけてみる。
 無機質なメッセージがかえってくるだけ。
「くそっ」
 雅之は携帯を投げ出して、そのままベッドに仰向けに倒れた。
―――どうすりゃいいんだよ、俺。
 仕事は、もうない。
 あれだけ真っ黒だったスケジュール表は、今は、嘘のように真っ白だ。
 今日、当分の間、自宅で謹慎することが言い渡された。
 今、雅之に課せられているのは、今月末に予定されている「贖罪」コンサートの打ち合わせと稽古だけ。それは聡も同じだろう。
 ベッドの上で、雅之は目を閉じる。
―――何やってんだよ、恭子さん。
 今すぐ、行って、助けてやりたい。
 でも何ができるだろう、援助しようにも貯金も尽きた、何もできないばかりか、むしろ騒ぎを増長させ、ますますあの母子を追い詰めるだけだ。
―――俺……弱いな………。
 ふと、目の端が潤んでいた。
 何もできない。
 何も、できなかった。
 将君、助けるどころか、ますますひどい状況にしちまった。
 事務所から発表された解雇宣告は、当然、将の耳にも届いているだろう。
 拘留は再度延長、ストームは活動休止、まさに八方塞りだ。
―――憂也、怒ってんだろうな。
―――もう、ダメかもしんねーな、ストーム。
 よく判った、所詮、将君いないとどうになもんねぇんだ、俺たちは。
 まるで、留金が外れたみたいに、今、5人はばらばらになっている。
 それぞれの声も、気持ちさえも届かない。
「………………」
 ふいに、ずっと連絡さえとっていない恋人の声が聞きたくなった。
 苦しいほど、聞きたくなった。
「…………つか」
 雅之は、閉じた目の上に両手を被せる。
―――つか、もう愛想、つかされてっよな。
 つかされて当然だ。
 自分のことばかりに夢中になって、ずっと放っておきながら、その影で梁瀬恭子と毎晩のように電話していた。
 将が逮捕されてからは、激変の連続で、ただ、襲い掛かってくる嵐に耐えるのに必死だった。凪のことは――思い出すことさえ、なかったような気がする。
 普通の恋人みたいなことを、ひとつもしてあげられないくせに、こうやって、寂しい時だけ思い出して――。
 が、それより何より、今、自分の周りを取り巻く影に、流川だけは、巻き込みたくない。
 巻き込んでも、何もしてやることができないから。
―――俺……ダメだ、
 何もできない。
 そんな力なんて、ない。
 大切な場所も、人も、守ることができなかった。
 何も……できなかった。
 こんな俺に、人に夢を与える仕事なんて……続けられない。



                 20


「あなたも吸わない口ですかな」
 背後から、ふいに声をかけられた。
 ぎょっとして振り返る。
 立っていたのは、昨夜から将と同じ房になった坂田、という男だった。
「私も吸いません、子供たちが嫌がるのでね」
 朝の体操の時間だった。
 地下壕みたいな留置所生活の中で、唯一、外の空気を吸える貴重な時間。
 最も体操などする者は誰もおらず、みんな、支給された煙草をふかしている。言ってみれば喫煙タイムだ。
 喫煙癖のない将は、一人、階段の半ばに腰掛けて、ぼんやりしていた所だった。
 男は、その、将の隣に腰掛ける。
「お子さん、おられるんですか」
「ええ、三歳と五歳、可愛いさかりですな」
 ここで、初めて目にする、人間らしい人間。
 背丈が百六十もないほどの痩せっぽちで小さな男で、髪は半分白髪混じり、雰囲気的にはリストラされたサラリーマンといったところである。
 が、それでも、何かの被疑でここに拘留されていることは間違いない。
 一体、何をしたんだろう、そう思ったものの、さすがにそれは聞けなかった。
 というより、全てにおいて男は妙に淡々としていて、むしろ将は、ここの常連さんかな、と疑念を抱いたほどだ。
「男のお子さんですか」
「ええ、どちらも男ですな」
「いいですね」
 何がいいのか自分でもよく判らなかったが、適当に相槌を打っておく。
 話しかけられるのは嫌ではないが、今の将の頭の中は、自身がくだした決断の行末でいっぱいだった。
 外の情報が一切入ってこないから知りようがない、が、昨日か一昨日に、将の解雇が、正式に事務所から発表されたはずだ。
―――りょう、聡、憂也、雅、
 みんなどう思ったろう。失望しただろうか、安堵しただろうか。
 すぐにでも会いたい気がするし、もう、会わせる顔がないような気もする。
 これが自身で下した結論とはいえ、穴の開いたような喪失感がどうしても消えないまま、将の拘留生活は、これで15日目を迎えようとしていた。
「どれだけ仕事で疲弊して帰っても、甘く酸えた匂いで抱きついてくる。1日の疲れなど吹き飛びます、子供の匂いというのは、独特でしてな、お若い方には判らないでしょうが」
 将の思考を遮るように、淡々と乾いた声で男は続けた。
「お父ちゃん、お父ちゃん、今でも甘えた声が聞こえてくるようです」
「……………」
 この時間の私語もまた禁止だが、今日の監視も、佐川という男だった。
 将も最近知ったのだが、どうも現役ではなく、警察のOBで嘱託として雇用されているらしい。
―――父親か。
 将はさめた目で、膝を見つめた。
 あまり、聞いていたい話ではない。
 接見弁護士の言葉が、そのまま父の言葉なら、将は家族にさえ、「自白」を勧められたことになる。
 一度も面会にこない父は、今、さぞかし大変な思いをしているだろう。自身の保身と立場のために。
「私の買ってきた惣菜を、三人でわけて、仲良く食べるのですよ。下の子が皿を並べて、上の子がご飯をよそいます、とても聞き分けのいい、いい子たちです」
「…………」
 母親がいないんだな。
 じゃあ、父親が逮捕されて、その子供はどうしているのだろう。
「その後は風呂に入って、子供らが交互に、私の背中を流してくれますな、湯船につかり、私は目を閉じて、子供たちが遊ぶ声を聞いているのです。生きていてよかった、一番そう思える時間ですな」
「早く、ここを出られるといいですね」
 幸せそうな目をした男に、将に言えたのはそれだけだった。
 もっと聞いてあげるべきなのかもしれないが、今、他人のことを気にかける余裕はあまりない。
 梅雨明けの空、日差しがまぶしかった。
 うつむいた将の視界に、コンクリートを這い上がる蟻の行列が見えた。ふいに薄汚いサンダルが、その列に覆いかぶさる。
 一度、二度、三度。
 粟粒ほどの昆虫の群れは、黒い沁みになってコンクリに痕を引いた。
「……………」
 穏やかさから一転した残虐さに、将は眉を寄せたまま顔を上げる。
「人というのは、不思議なものですな」
 蟻を踏み殺した男の横顔には、優しい微笑が浮いていた。
「普段、日常的に目の前にあるものを気にとめもしない。そのくせ、それを壊した途端、まるで自分の身内を殺されたかごとくの大騒ぎです」
「………………」
 なんだろう。このおっさん。
 どっか頭でもおかしいのかな。
 坂田という男は将の立場をまるで認識していないようだった。
「早く外に出たいですかな」
「………まぁ、一応」
 気味が悪いので、適当に相槌だけを打つ。
「ここも外も同じではないですか、ひたすら苦行があるのみです。生きるということは残酷で、そして苦しいことの連続ですよ、そうは思いませんか」
「はぁ……」
「働いても働いても楽にならない、一体私の労働の対価は、どこに消えているのでしょうか」
 それを俺に聞かれても。
「私は悟ったのですよ、冬はいつか終わりますが、人生の冬には終わりがない、この世界は、そもそも始めから終わりまで、暗く、寒い、みぞれまじりの夜のようなものなのです」
 将が黙っていると、男は柔和な目でにっこりと笑った。
「地獄とはここにあり、極楽とは、死んだ後にあるものかもしれませんな」
「……………」
 点呼の声が響く。
 男がようやく腰をあげてくれたので、将も立ち上がって、衣服についた砂を払った。
 へんなおっさんだ。
 やっぱ、ここに来る連中って、どっかまともじゃねぇのかな。
 最初に同房になった親父も、外よりここが天国だって言ってたし。
「自分の子供殺したらしいよ」
 ふいに、背後を通り過ぎる者たちから、そんな囁きが聴こえた。
「兄弟2人、5才と3才、鬼畜だな、ありゃ」
 彼らの視線が、どこを向いているか、戦慄した将は振り返ることができなかった。



                  21


 さすがに、殺人犯と同室だと思うと、その夜の将は、別の意味で寝付けなかった。
 しかし、外ではあれだけ饒舌だった男は、夜遅く、取調べを終えて戻ってきてからは、不思議なくらいずっと無言のままでいた。
 取調べがきつかったのかもしれない。
 どんな事情があったにせよ、殺したのがわが子なら、後悔くらいはしているだろう。
―――にしても、マジかよ。
 こんな経験でもしなければ、絶対に人生でかかわりあうことない男。
 それが今、手を伸ばせば触れる近さで隣り合って眠っている。
 何度も寝返りを繰り返し、暁暗、ようやくうとうとしかけた時だった。
「生きることに、絶望したことはありませんかな」
 ほとんど囁くような声だった。
 壁の方を向いたまま、将は眠ったふりを続ける。
 狭い房内、背中合わせに寝ている男とは、下手をすれば、体温さえ感じられる距離にある。
「妻が男と出て行って、私は子供二人と取り残されましてね、世間というのは冷たいものですな、誰も助けてはくれませんでした」
 囁きが、将の髪に触れる近さ。
「待機だとかで保育園にも預けられず、やむなく留守番をさせて仕事に出たのですが、妻と逃げた男の保証人になっていましてね、私」
「…………」
 私語は禁止だ。
 一体見張りは何をやっているのだろう。
「給料の半分以上は返済に回されます。家賃を払うのが精一杯で、福祉に行きましたが借金は考慮できないと言われました。満足に食事もおやつも買ってやれず、いつも近所の家に行っては、食べ物をねだっていました。しまいには、居留守を使われていたようでね、本当に可哀想な子供たちです」
 囁き声が、綿々と続く。
「貯金は底をつき、季節は冬になりました。結局は借金でまかなうしかなかったのですよ、子供を凍えさせるわけにはいかないじゃないですか」
 将は無言のまま、かたくなに目を閉じ続ける。
「誰も助けてくれませんでした、夜中に熱を出して救急車を呼んだものの、帰りの運賃がなく、熱を出した子を背負って雪の中を歩いて帰ったこともありました。近所にたくさん人はいたのですが、手を貸してくれる人は誰もいませんでした、仕方ないでしょう、誰もが自分の人生を背負うので手一杯なのですから」
 つらかったのは判るけど。
 それを、今、俺に言ってどうするよ。
 つか、今、マジで怖いんだけど、俺。
 初めて感じる得体の知れない恐怖。
「最後の夜、私はサラ金で五万円を借りて、子供たちの好きなものを、全て買ってやりました。漫画、ゲーム、カード、玩具、お菓子、全部買ってやりました」
 最後。
 将は思わず、自身の呼吸を止めている。
「はしゃいで遊んで、おなかいっぱいになって眠った子供の顔を、私はしばらく見ていました。ずっとずっと見ていました。そしてこう言いました、これからお父ちゃんが、お前たちを楽しいところに連れてってやるからな」
「………………」
 それで。
「……殺したん、ですか」
 その時、親も子供も、
 どういう気持ちで。
「ちがいますな」
「………………」
「楽にしてあげたんです」
 他に、何もできなかったのだろうか。
 他に、何も。
 そこにわずかな希望さえ、持つことができなかったのだろうか。
 ふいに重みがのしかかってくる。はっとして声をあげようとした刹那、喉に獰猛な圧力がかかってきた。
「………っっ」
 男の顔が、ほとんど鼻先すれすれにある。
 それは人間ではない、別の何かのようだった。
 首を圧迫する両手、いきなり、息の根元を押しつぶされたような痛みと苦しさ。
 かっと顔が熱くなり、無我夢中で将は動いた。が、まるで無駄な抵抗になっている。というより、それすら、将には認識できない。
「あれだけ無関心だった人が」
 助けてくれ。
「どうして、今更、私たちに同情するのでしょう、何故、自分を責める前に、福祉だの国だのを責めるのでしょう」
 誰か。
「この、地獄みたいな世界から」
 苦しい、誰か。
 殺される。
「やっと開放されるんじゃないですか」
 全身の力が抜けていく。
 嘘だろ、
 死ぬって、こんなにあっけないものなんだ。
 遠くで怒声がして、ふいに目の前が白くなる。
 将が記憶しているのは、そこまでだった。










 
 ※この物語は全てフィクションです。



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